文部科学省・ブランディング研究事業
「次世代動力源としての全固体電池技術の開発と応用」
日本工業大学の申請事業「次世代動力源としての全固体電池技術の開発と応用」が、文部科学省の平成29年度「私立大学研究ブランディング事業」に採択されました。応用化学科が中心となり、平成29-31年度の3年計画で「全固体電池」に関する研究を精力的に進めていきます。
【研究の背景と事業内容】
エネルギー戦略は世界的課題であり、なかでも蓄電池技術は重要なテーマです。現在、液系リチウム電池が主流ですが、安全性や寿命に関する課題を含んでいます。日本工業大学では、次世代の蓄電池候補のひとつとして期待されている「全固体電池」の技術開発を行います。応用化学科の強みである物質デザインや真空技術、薄膜合成などの基盤技術を活用し、大学ならではのユニークなアプローチで研究を進めていきます。本研究の推進により、国のエネルギー戦略に貢献するとともに、将来の日本の科学技術を支える理工系人材を育成していきます。
【大学ならでは研究アプローチ】
全固体電池は、正極(プラス)、電解質、負極(マイナス)のすべての部材が不燃性の固体で構成されているため、高い安全性に加えて、高いエネルギー密度(容量)と出力(パワー)を兼ね備えた次世代の高性能蓄電池として期待されています。
全固体電池と液系電池の大きな違いは、リチウムイオンが固体電解質と正極の間をまたいで移動することです。そして、固体電解質と正極の間をリチウムイオンが移動するときの大きな界面抵抗が全固体電池の実用化に向けた課題となっています。また、大きな出力を生むためには、高い電圧と大きな電流が必要となるため、そのための材料開発を行います。
上記の課題を解決するため、本研究では、(1)固体材料の界面形成(Science)、(2)機械学習を利用した新規材料開発(Mathematics)、(3)電池作製プロセス技術開発(Engineering)の3つの項目について研究を進めます。これまで「ローテク」とされてきた電池開発の分野に、「Science」と「Mathematics」を取り入れることにより、新たなイノベーションをもたらすことを目指します。