研究内容
本学建学の実工学の理念にあるように、基礎科学である有機合成化学を学び、研究することで、新たな価値と技術を創造します。有機合成化学は、分子を設計・創出する学問であり、医薬品・農薬・天然物・香料・化粧品・ポリマー・光機能性材料などさまざまな有用物質を作り出す基幹工学です。分子工学とも言えます。とくに当研究室では光駆動型分子工学の研究に取り組んでいます。
研究のキーワードは、分子触媒・元素置換戦略・光エネルギーです。
・触媒化学はもの作りの重要な技術基盤であるとともに環境・エネルギー問題の解決に関連した重要な学術分野です。当研究室では分子触媒を用いた有機分子の新しい変換方法を開発・研究しています。とくに、我々にとって身近な太陽光やLEDから得られる光エネルギーを利用した光触媒作用でスマートな低環境負荷型化学合成システムの構築に挑戦しています。最近では新しい機能性物質の創製だけでなく、資源循環を見据えた高分子化合物の分解など、持続発展可能な社会構築に資する研究を行っています。
・基礎研究には膨大な時間と労力が必要です。現在、人工知能(AI)技術の活用により、生命科学や材料科学などの分野で試行錯誤の実験だけでは得られなかった大きな成果が得られています。有機合成化学の分野においても、AI技術を積極的に利用する動きがあります。我々のグループでは、フロー光反応装置を用い、光反応化学データのデジタル化・機械学習に取り組み、新しいスタイルで有機合成研究を進めていきます。
最近の発表論文
- 触媒・反応開発に関する論文:ChemCatChem, 2023,15, e202201311.
- フッ素化合物合成に関する論文:Org. Lett., 2020, 22, 2801–2805; Chem. Commun., 2021,57, 2609-2672.
- 光照射フロー合成に関する論文:ACS Catal., 2019, 9, 6555–6563.